小学校に保育園の可能性

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認定こども園を併設している公立小学校を視察した。保育園へのニーズはまだまだあり、武蔵野市などでは開園するにも場所が問題となる。そこで、従来の児童数に比べれば少なくなった学校を利用できないかと考えているからだ。
視察したのは新宿区立四谷子ども園。新宿区では他に5箇所で小学校に認定子ども園を併設しているが、一番早く開園した園でもある。

新宿では、区立幼稚園を以前から小学校と併設していたが、児童数がピーク時の6分の一と減少するなか保育園へのニーズが高くなっていたこと。公立幼稚園への入園数が特に減少傾向だったことから、小一プロブレムが課題になっていたこともあり小学校就学前の子どもの環境を充実させることを目的に幼保一元化施設としてスタートした。

そのため、子ども子育て新制度による認定子ども園とはスタートの趣旨が違っている。区の担当者は、保護者が仕事している、していないで分けられないような環境にすることが目的。保護者の仕事の都合で園が変わってしまうのではなく、預けている時間は違ったとしても同じ園で通えるようにしたかったと話されていた。この考え方は参考になる。

また、学校施設に保育園など福祉施設は入ることへの抵抗が多く問題となることが多いが、新宿区では幼稚園を併設していたので、この問題はなかったことになる。



■小学校併設のメリット

小学校と併設しているメリットとしては、小学校の行事に子ども園の園児が参加するプログラムが組まれていることや日常から触れ合うことが多いので小学生が小さな子どものことを意識することが多く情操教育としてはいい。園児側からすれば、幼稚園や保育園といった比較的小規模な集団から学校という大規模集団に突然と変わることがないので小一プロブレムは少ないことだとされていた。



幼稚園と保育園を一緒にすることで保育内容についての課題について伺うと、当初は午前が幼稚園教諭中心、午後は保育士中心として保育を考えていたが、やってみるとどちらも同じで今では一緒にやっているとされていたので、そう大きな課題ではないのだろう。



■課題

ただし、幼稚園教諭は教員の給与体系なので残業代がない。保育士は一般職を同じにしているので残業代があるので、残業の扱いなどで課題が残っており、基本給も異なっているので課題だとされていた。このことは他の自治体でも課題となりそうだ。

課題については特にはないようだ。施設が狭いように思うが、そもそも土地がない新宿区だ。小学校の校庭自体、武蔵野市と比べるとかなり狭いのでいたし方がないのだろう。
庭と呼べるかは分からないが、校舎と道路の間には子どもであれば十分遊べるスペースがあった。これは、幼稚園には法的に園庭が義務付けられているので確保されていたものだ。保育園は、近くの公園で代用できるので幼稚園を転用するメリットに思えた。


保育内容に課題はないようだが、職員体制を聞くと、半数が非正規職員となっており、今以上に正規を少なくはできない、限界だとされていた。確かにそうだろう。正規職員は公務員であることもあり、どこにもある人件費削減の波からこのようになっているのだろう。

子どもひとり当たりの区の支出額(一般財源からの支出)は、年額約224万3000円(平成25年度)。武蔵野市は、約160万円(平成24年度決算)だから、かなりの額となっている。
武蔵野市の場合は、非正規職員が半数までにならないうちに、子ども協会へ移管することで人件費を下げる一方で正規を増やすことを行っている。新宿区の子どもひとり当たりの経費は年々増えていることを見ると、公営で続けられるかが課題となりそうだ。

■地域づくりになるか

子ども施設を小学校などに併設することで、保護者同士が未就学児のときから顔見知りになり地域の関係をつくりやすくなると私は考えている。四谷子ども園では、小学校と子ども園の保護者同士のつながりが強いとの話を聞いたので、この効果もあるのではないかと思った。
しかし、抽選で入園するので子ども園の保護者は必ずしも近くに住んでいるのではないこと。小学校は住んでいる地域の小学校への通うことを原則としているが学校選択制度を採用しているため、子ども園から他の小学校へ通う子どもは少なくないのだそうだ。 となると、地域力を考えての併設はあまり効果がないと思えた。武蔵野市の場合は学校選択制度を採用していないので(理由があれば選択できるが)、可能性はあるだろう。 


■武蔵野市では

認定子ども園は、校舎の一階。上の階が小学校となる。小学校の校庭を使うこと、特に体育館を使えるので子ども園の子どもたちには、併設ではない園よりも施設は充実しているそうだ。 どのような施設になるかは、小学校の規模によりけりだが、武蔵野市でも小学校や中学校に子ども園や保育園を十分併設できると思えた視察だった。図は武蔵野市の公共施設白書にある児童・生徒数の推移だ(下図参照)。

今後、若干増えてはいくが、ピーク時と比較すると半数の人数となっており、少なくなった分、教室やスペースを活用できると考えられる(桜野小は無理だが)。 

武蔵野市は、今後の統廃合の検討を始めているが、その前に今問題となっている待機児対策として活用することが必要だろう。

視察は民主党東京都連男女共同参画部会で行ったもの。 

jidousu

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